当団は、ウィーン式の管・打楽器を使用しております。
第2回演奏会のパンフレットに掲載された楽器の紹介文書(「ウィーンの響き」)の一部を抜粋・改変してここに掲載いたします。


ウィーンの響き

 当団 Philharmoniker Wien Nagoya は、ウィーンの響きを追求するために2011年春に中京地区のアマチュア演奏家有志により設立されました。
ウィーンの響きと言っても、さまざまなイメージで捉えられると思いますが、世界的にも最もよく知られており、またウィーンでも最も実力がある、
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(Wiener Philharmoniker、以下WPhとします)の音を追求することに意義を見出しています。
 現代人からみると、管弦楽団という存在が職業音楽団体として存在するように思いますが、WPhの原点は1498年にハプスブルク家のマクシミ
リアン大帝により作られたミサ曲の伴奏楽団(Wiener Hofmusikkapelle)です。毎週日曜日朝に、ウィーンの王宮礼拝堂(スイス宮)で、カトリック
のミサを演奏するために作られたものです。驚くべきことに、今でも毎週演奏されています。余談ですが合唱のソプラノ・アルトの声部を担当して
いるメンバーが独自に演奏活動しているのが、ウィーン少年合唱団です。その後、皇帝の要請によりその楽団が時に歌劇を演奏するようになり、
1869年には宮廷歌劇場が設立されて、民衆に歌劇を解放し、さらに第1次世界大戦後に国立歌劇場に移管された時の管弦楽団のメンバー
(Der Orchester der Wiener Staatsoper)による私的な集まりが、実はWPhなのです。
そのように5世紀以上の歴史の伝統のある中で、ウィーンの響きの元となる管弦楽に用いる楽器の「素材」を考察してみたいと思います。
 まず管楽器についてですが、なんと言っても一見して違うのはオーボエ属(写真1,2)とホルン属(写真3,4)です。

オーボエイングリッシュ・ホルンホルンワーグナー・チューバ
写真1
写真2
写真3
写真4

それぞれ固有の名称がついていて、我が国では「ウィンナ・オーボエ」、「ウィンナ・ホルン」と呼ばれております。
オーボエやイングリッシュホルンは吹き込み口直下が膨らんでいることが見かけ上の特徴(現地では「玉ねぎ」と呼ばれています)です。
特にウィーン様式のイングリッシュ・ホルン(写真2)は、現在、我が国では当団しか所有していません。いわゆるフランス式との相違は、軽い音色、
かつヴィブラートをかけない奏法で演奏することが特徴です。ホルンは、音を変えるときに使う回転式ヴァルヴとは異なり、2本の並行ピストンを
上下させる仕様のものです。見かけ上はマウスピース直下にピストンのない時代の名残りであるボーゲンという直径20cm程度の曲管を挟んで演
奏することで、ベル本体もやや小ぶりです。
なおワーグナーやブルックナーなどの曲目によっては、一部ホルン奏者が作曲者の指定により「ワーグナー・チューバ」という独特の楽器を使用
します。
ウィーン様式のワーグナー・チューバ(写真4)は、ベルがやや小ぶりの、WPhと全く同じメーカーの楽器2種類(B管のテナー・チューバとF管のバス・
チューバ)を使用しております。

次にクラリネット、トランペット、チューバなども独自の仕様の楽器を使っています(写真5,6,7)。

クラリネットトランペットチューバ
写真5
写真6
写真7

クラリネットはウィーン・アカデミー式と呼ばれるシステムの楽器で、指使いも多少異なります。
またトランペットは、いわゆる「横らっぱ」というシステムで、ホルンとは逆に回転式ヴァルヴを採用した楽器を使用しています。
チューバに至っては、ウィーンでも既に廃れかけている独特の仕様のものを演奏します。

他方、打楽器に目を向けると、なんと言ってもティンパニでしょう(写真8,9)。
山羊皮を用いた鍛造の銅の共鳴体と、手回しの音程調整が特徴です。響きがワイルドにならず、はじけるような締まった音が特徴です。

ティンパニティンパニ
写真8
写真9(マーラー1番で7台使用)